太陽光発電の発電量は1日どれくらい?計算方法と一緒に詳しく紹介

このページでは太陽光発電の発電量を京セラのシミュレーションツールを使って計算しています。

発電量を表す単位に『kWh』『kW』があります。

kWh(キロワットアワー)は、電力量の単位です。

kW(キロワット)は、電力の単位です。

1kWの電力を1時間使用した場合の電力量が1kWhとなります。

途中kWhをkWに変換して1日の発電量を求めるので紹介しました。

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1日の発電量は1.2kW~1.5kW程度

京セラを東京都に設置した際の年間発電量
京セラを東京都に設置した際の年間発電量
《シミュレーション条件》
5.208kWシステム
方角:真南
地域:東京都府中市
傾斜角:30度
1日の発電量シミュレーション

5,412kWh(年間発電電力量)÷12カ月=451kWh(一ヶ月あたりの発電電力量)

451kWh(一ヶ月あたりの発電電力量)÷30日=15.03kWh(一日あたりの発電電力量)

15.03kWh(一日あたりの発電電力量)÷12時間(太陽が出ている時間)※=1.25kW(1日の発電量)

※キロワット時(kWh)からキロワット(kW)変換時の計算式

太陽光発電は設置するメーカーや地域によって発電量が上下しますが、京セラ5.28kWシステムを設置すると1日の発電量は1.2kW~1.5kW程度となります

ただ、上記の京セラの発電データを見てもらえば分かるように、一番発電している季節(5月)と一番発電していない季節(11月)では発電量は大きく変わってきます。

5月と比較すると11月は約3割も発電量が少ないことになりますので、一日の発電量も約3割ほど少なくなります。

ですから今回紹介している1.2kW~1.5kWという数値は一年の平均発電量(1日)で、一番発電する季節では1.5kw~1.8kW、発電量が乏しい季節は1.0kW~1.3kWの範囲で推移することになります。

太陽光発電は太陽の光をエネルギーに変えるため、日射量が発電に大きく左右します。

ちなみに年間の発電量の算出方法は、【年間日射量×0.85(システム出力係数)】によって求められます。

システム出力係数とは、パネルで作られた電気が配線やパワーコンディショナなどを経由することによる発電ロスの値になります。

日射量は各都道府県によって変わってくるため、都道府県別の平均データを使用して求めます。

1日の発電量の時間帯別データ

太陽光発電1日の発電量の推移
太陽光発電1日の発電量の推移

1日の発電量で見てみると、朝5時くらいから発電が開始されて18時くらいまで発電します。

そして一番発電が期待できる時間帯が10時~12時になります。

太陽光発電の発電状況は一年を通して同じ動き方をします。

季節によって日の出時刻、日の入り時刻は変わってきますので太陽の動き方による発電開始・発電終了の時刻は前後していきます。

ただ、曇りの日や雨の日は大きく発電量が低下し、晴天時と比較すると曇りの日で6割ほど低下し、雨の日では8割ほど低下します。

雪が太陽光発電に積もっている状況では発電は期待できません。

家庭用太陽光発電の発電量向上の為にパネル設置角度と方位を意識する

太陽光発電の設置方角
太陽光発電の設置方角

太陽光発電の発電量を向上させる為にはパネル設置角度と方位を太陽光発電にとって最適な位置に設置することが大切です。

太陽光発電が一番発電すると言われている角度は30度、方位は真南になります。

各メーカーのカタログに記載されている発電量も、角度は30度、方位は真南によるシミュレーションデータになっています。

ただ家庭用の場合屋根に設置するケースが多くなりますので角度は屋根勾配になります。

角度30度は屋根勾配でいうと6寸(30.9638度)です。

また、寄棟屋根でしたら東西南北に屋根が分かれていますが、東西面への設置も有効的です。

真南に比べると発電量は15%落ちてしまいますが、それでも朝・夕の光を効率的に電気に変換できるという点で真南一面設置よりも発電メリットは大きくなります。

ちなみに北面への設置は他の方角と比較すると大きく低下してしまう為(発電量は65%ほど)、おすすめはしません。

家庭用太陽光発電は切妻屋根であれば真南に設置、寄棟屋根であれば東・南・西の方角に設置、陸屋根であれば傾斜角30度で真南設置が太陽光発電にとって最も発電量が期待できます。

朝・夕の弱い光を効率的に電気に変換できるかが総合的な発電量に影響する

太陽光発電は朝5時頃からゆっくりと発電し11時~12時をピークに発電量が低下していき夕方18時頃に発電を終了します。

この発電量は太陽の照度(光に照らされた面の明るさの度合)に比例しています。

朝・夕は太陽の照度が少ない時間帯になりますので発電量も小さくなります。

その為、この朝夕の照度の少ない太陽光をしっかりと電気に変換できる太陽光発電を選ぶことができれば1日の発電量が期待できるわけです。

カタログに記載されているパネルの性能はある一定の条件(設置角度30度、真南設置、気温25度、AM(エアマス)1.5、放射照度1000W/†)での数値になり、1日を通してその性能を確保しているわけではありません。

このようなカタログ数値ではなく実際の1日の発電量のことを実発電量と言います。

実発電量が期待できるメーカーとしてはソーラーフロンティアになります。

ソーラーフロンティアは他メーカーとパネルの材質が違いCIS(Copper(銅)+Indium(インジウム)+Selenium(セレン))という化合物を使っています。

CISパネルの特徴として、高温に強いことや部分的な影の影響が全体のパフォーマンスに影響しづらいなどがあり朝・夕の照度の少ない太陽光でも効率的に電気へと変換してくれます。

少し前まではCISパネルは生産コストが高く小売価格も高い状況にありましたが現在では、大量生産により価格もシリコン系パネルと変わらない金額に落ち着いてきました。

安定して1日の発電量を確保したい方にはソーラーフロンティアをおすすめします。

雪が積もれば発電はストップする

屋根に雪イメージ図
屋根に雪が積もるイメージ図

太陽光発電は太陽光パネルに雪が積もってしまうと発電はストップしてしまいます。

パネルの一部に雪が積もってしまうことでパネル全体の発電効率が低下してしまうのも太陽光発電のデメリットの一つです。

雪による発電ロスが気になる方はソーラーフロンティアのCISモジュールを検討するなどしましょう。

北国などでは冬の時期にガクンと発電量が減る傾向にあることは頭に入れて発電シミュレーションをしましょう。

ただし、最近では雪を解かすシステムや雪国専用のスノーソーラー(雪が落ちやすい表面がフラットなパネル)も開発されているので以前よりも効率的に太陽光発電が稼働できるようになりました。

融雪システムの価格も30万円程度と導入しやすい価格となっています。

雪による発電ロスやCISモジュールについては別ページで詳しくまとめましたので、そちらのページをご覧ください。

変換効率を理解しよう

太陽光発電パネル設置例
モジュール変換効率を求める式

変換効率とは、太陽電池に入射した太陽光エネルギーのうち、電気エネルギーとして取り出すことが出来るエネルギーの割合を言います

太陽電池モジュール(パネル)は太陽の光を電気に変えるわけですが、現行の太陽光発電では太陽の光全てを電気に出来るわけではありません。

メーカーごとに性能が違いますが、だいたい太陽の光の15%〜20%を電気としてくれます。

カタログ記載では最大モジュール変換効率になります。

この最大変換効率というのは、JIS C 8918(日本工業規格)で規定するAM1.5、放射照度1,000w/㎡、モジュール温度25℃での値になります。

分母は入射太陽光エネルギーを示し、普通はAM1.5の時の太陽光で100mW/㎠のエネルギーを標準として用います。

AM1.5とは、エア・マス1.5と呼び、晴天時の太陽光で、天頂角が約42度で入射した太陽光をさします。

真上から入射する太陽光(AM1.0)より、通過する大気の空気量が1.5倍多い太陽光のことをいいます。

分子は、太陽電池から取り出すことの出来る電圧(解放電圧、Voc)と電流(短絡電流密度、Jsc)を掛け合わせ、さらに形状因子(フィルファクター、ff)をかけた値、すなわち電気出力です。

電流と電圧をかけますのでエネルギー単位はワット(w)になり分母と同じ単位になります。

変換効率の単位はパーセント(%)になります。

全ての環境で最大モジュール変換効率が発揮できるというわけではありません。

太陽電池の効率は、使用される半導体材料が吸収できる太陽光の波長領域と、その吸収量で決まります。

そのため最大モジュール変換効率がパネル選びのキモになることは間違いありませんが、変換効率が良いことで設置者にとって何のメリットがあるかというと単純により多くの発電が見込めるだけではありません。

変換効率が良いことでより小さな設置面積でより多くの発電が見込めるということになります

特に日本の現在の屋根の主流は、寄棟屋根で設置面積が狭い傾向にあります。

このように設置面積が限られている場合、家族で使う電気を太陽光発電でまかなう為には、ある程度の容量のシステムを設置する必要があります。

また、築年数が経過しているお宅に太陽光発電を設置する場合には住宅への負荷も考慮してパネルの枚数を調整することも考えられます。

太陽光パネルは1枚15kg~20kg程度ありますので、10枚設置しただけで200kg弱の負荷が住宅にかかることになります。(実際には、パネルを設置する為には架台と言われるレールを敷くので住宅への負荷はアップします。)

変換効率が良いパネルを採用することで限られたスペースを有効に使うことができるようになります。

太陽光発電を選ぶ基準はいくつかありますが、変換効率は一つの基準となる大切な指標です。

年々高性能なパネルが各メーカーから登場して、東芝からは最大変換効率20%以上のパネルまで登場しています。

現実的には、太陽光が太陽電池の表面で反射したり、吸収された太陽光エネルギーに損失があったり、電流が流れる時の抵抗などで変換効率は落ちますので100%は目指せませんが、これからもパネルの性能の向上には期待感があります。

新エネルギー産業技術総合開発機構(NEDO)が公開した、太陽光発電に関するロードマップ『PV2030̟̟+』では、最終的には、2050年時点の変換効率を40%にまで高めることが目標としています。

曇りや小雨の日でも太陽光発電は発電する

太陽光発電は曇りや小雨の日でも発電します。

発電量は晴天の日と比較すると10分の1程度になります。

日立市天気相談所の『日別の曇りの割合(%)』を見ると、曇りの日の平均日数は67日になったと記録されています。

年間で見ると曇りの日の発電量もバカにはできないということですね。

雨の日は小雨程度であれば微量ではありますが発電がありますが、大雨や雪などの雲が多い日には発電はストップします。

太陽光発電が一番発電する季節は春(4月、5月)

一年間の発電量の推移グラフ
日本気象協会

意外に思われるかもしれませんが太陽光発電が一番発電する季節は春(4月、5月)になります。

夏場もたくさん発電はしますが、現在の太陽光発電は熱に弱いという性質があり、夏場は日が長く日射量が多いため総合的な発電量は多くなりますが発電ロスの影響が大きい季節になります。

発電効率の観点からいうと、夏場よりも冬場の方が高いです。

細かいことを言えば、太陽光発電の設置検討は冬場に行い春先に設置するのが一番投資効率が良くなります。

経年劣化におけるパネルのメンテナンスも発電量に大きく影響する

太陽光発電を掃除している様子
パナソニックの太陽光発電経年劣化具合

《東京都に5.0kWシステムを設置した場合》

  • 250Wモジュール単結晶(NE125×125-72-M(L))20枚
  • パワーコンディショナ(VBPC255A4)1台
  • 真南設置
  • 屋根傾斜30°

初年度発電量・・・5,647kwh

10年後発電量・・・5,251kwh
(5.647kWh×0.93で計算しています。)


太陽光発電は経年劣化(時間の経過によって品質が低下すること)によって年々発電量は低下していきます。

太陽光発電の劣化には大きく4つの原因があると言われています。

  1. 水(雨)
  2. 機械的ストレス

なので、全ての環境下で上記の表のような劣化割合な訳ではなく、お住まいの地域で雨が多い地域や日差しが強い地域でしたら劣化スピードは早くなるというわけです。

とは言っても、一番劣化スピードが早い単結晶モジュールでも日本においてはどんなに劣悪な環境におかれても年間1%の劣化には達しない程度だと見ていいでしょう。

ただ適切なメンテナンスを行えば、その経年劣化のスピードを遅くすることができます

主な太陽光発電のメンテナンスでは以下になります。

  • パネルの汚れ、キズ、破損の清掃
  • 架台の汚れ、さび、破損、キズの清掃
  • 接続箱の腐食、破損、配線の損傷、端子の緩みの確認
  • パワーコンディショナの外箱の腐食、破損、運転時の異音、加熱の有無、通気の確認

太陽光発電は稼働する部分がなく、他再生エネルギーの中では最も手がかからないと言われていますが、それでもメンテナンスは必要になります。

住宅用では4年に一度、産業用では1年に一度の点検をおすすめしています。(50kW以上の産業用太陽光発電システムの場合には1年に2度の点検は義務になります)

メンテナンスによって、太陽光発電の経年劣化は緩やかになりますので、是非ともメンテナンスも念頭に置いて設置検討してください。

急激に発電量が低下するようなら出力保証を適用

ホットスポットによる発火もある
ホットスポット

一般的には太陽光発電の発電量は緩やかに低下していきます。

しかし、稀に施工による配線トラブルやホットスポットによるパネルの劣化などによって通常の劣化スピードよりも速く発電量が低下していくことがあります

※ホットスポットとは、鳥の糞や落ち葉などが太陽光発電に乗っかり影になった部分の温度が高くなりパネルが劣化すること。

このように不慮のトラブルで太陽光発電の発電量が規定の数値よりも低下するようだったら、各メーカーが定める出力保証が適用されます。

東芝であれば、出力保証は設置から10年間、公称最大出力の90%の90%未満となった場合は無償でモジュールの修理、交換を行ってくれます。

システムの不具合に気付く為にも、カラーモニタを活用して発電状況を把握しておくとよいですね。

ただ、私のお客様でも出力保証が適用されるほど発電量が下がったお宅はありませんでしたので、出力保証に関しては頭の片隅にでも置いておく程度でよいでしょう。

太陽光発電発電量まとめ

家庭用太陽光発電は朝の5時くらいから発電を開始し11時~12時をピークに低下していき18時ごろに発電が終了し、1日の発電量は1.2kW~1.5kW程度となることを紹介しました。

また天候や季節、地域によっても発電量は上下します。

設置している太陽光発電の晴天時の発電量がその上下幅内(1.0kW~1.8kW)であれば正常に稼働していることになります。

日照時間は限られていますので、設置角度や方位を最適にして1日の発電量を効率的に取り入れるようにしましょう。

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