産業用太陽光発電にかかる維持費と項目(内訳あり)

2017年4月にFIT法(固定価格買取制度)が改正され、太陽光発電における保守・点検にかかる維持費に関心を持つ方が増えています。

特に投資目的になる産業用太陽光発電システム(10kW以上のシステム)に関しては、維持費も大きくなることから毎年必ず必要になる費用と不定期に必要になってくる費用の確認は運用パフォーマンスに直結してきますので、とても大切です。

産業用太陽光発電システムにおける、年間にかかる維持費用の内訳と、メンテナンスを怠る事で考えられるリスクを事業計画策定ガイドライン保守点検ガイドラインとともにご紹介していきます。

 2019年における産業用太陽光発電システムのリスクをまとめましたのでご覧ください。

⇒ 産業用太陽光発電の9大リスクと対策【2019年最新版】

必ず必要になる維持費と項目

産業用太陽光発電システムにおいては、必ず必要になってくる維持費としては3つの項目があります。

この3つの維持費に関しては、収支に影響してきますのでシミュレーションに必ず反映させて計算するようにしましょう。

3~4ヵ月に1回の日常巡視点検

保安規程には,事業用電気工作物の工事,維持及び運用に関する保安のための巡視,点検に関することを記載するよう求められており,届け出た保安規程を遵守する必要がある。
事業用(自家用)電気工作物の定期点検 | 保守点検ガイドライン

事業地の管理において、防災や設備安全、環境保全、景観保全などに関する対策が、計画どおり適切に実施されているかを随時確認するように努めること。
周辺環境への配慮 | 事業計画策定ガイドライン

50kW以上のシステムにおいては日常的な設備の見回り(巡視)が必要になります。

一応、保守点検ガイドライン巡視では、日常巡視点検(1週間)・定期巡視点検(6ヵ月)・精密点検(1年)の頻度で太陽電池アレイ・パワーコンディショナ・接続箱を目視、聴覚、臭覚で確認することが求められています。

ただ、日常点検の頻度に関してはあくまでも目安とされています。

その為、日常巡視点検と定期巡視点検を一つに考えて3~4ヵ月に一回の日常点検を実施している業者が多いです。

また、10kW以上50kW未満のシステムにおいても、不法投棄などによって地域住民の景観が損なわれないように日常巡視の必要があります。

4年に1回の定期点検

定期点検は,日常巡視では確認できない設備の劣化又は損耗などについて実施する。点検項目は表 B.3を参照し,4年に1回以上実施する。
10kW以上の一般用電気工作物の定期点検要領例 | 保守点検ガイドライン

10kW以上の太陽光発電システムに関しては、4年に1回設備に不具合がないか点検し、その点検内容を記録して保管しておく必要があります。

点検項目は保守点検ガイドラインに記載されている定期点検要領例(表B.3)に基づいて行われることになります。

点検項目は太陽電池アレイ・架台・パワーコンディショナ・接続箱ごとに細かく51に分けられています。

また、50kW以上のシステムに関しては、太陽電池アレイ・接続箱・パワーコンディショナの精密点検は1年に1回が推奨されています。(義務ではありません)

償却資産税(毎年)

【償却資産税の計算方法】
評価額×標準税率(1.4%)

10kW以上の太陽光発電は事業用に区別されるため、償却資産税が毎年必要になります。

償却資産税とは、事業用の減価償却の対象となる設備(機械、器具・備品、建物)に対して課せられる固定資産税になります。

例えば、1,000万円の設備を導入した際の償却資産税は14万円になります。

ただ、太陽光発電は減価率0.127(耐用年数17年)で設定されていますので、年を追うごとに資産の評価額は目減りして、それにともない償却資産税も少なくなっていきいます。

ちなみに太陽光発電の場合、最初の3年間は償却資産税が3分の2に軽減され、なおかつ1年目は減価償却率が半分になるという優遇を受けることができます。

なお、太陽光発電に関する詳しい固定資産税の計算例に関しては別ページで詳しくまとめましたので、そちらのページをご覧ください。

10年目安でのパワーコンディショナの基盤交換

太陽光発電売電の故障割合円グラフ

太陽光発電システムにおいて、最も故障リスクが高い設備はパワーコンディショナになります。

パワーコンディショナとは、太陽電池で作った電気(直流電流)を一般家庭で使える電気に変換(交流電流)させるインバーターです。

2012年にアメリカで開催されたIEEE光起電力専門家会議で太陽光発電システムの故障割合に関してのレポートがありましたが、実に42%がパワーコンディショナによるものでした。

このことから、パワーコンディショナは故障する前に一定期間での基盤の交換がすすめられています。

そして、この一定期間で推奨されているのは10年~15年に1回という頻度になります。

太陽電池モジュールは20年以上、パワーコンディショナは10~15年と言われています。パワーコンディショナは設置後10年程度で一度点検し、必要に応じて部品交換や機器の取り換えを行って下さい。
Q21. 機器の寿命はどれくらいですか? | JPEA 太陽光発電協会

パワーコンディショナの不具合に関してはメーカーの機器保証によって無償で対応してもらえますが、得られたであろう売電までは補償してもらえません。(休業補償保険に加入していれば別)

その為、パワーコンディショナは故障する前に基盤の交換をすることをおすすめします。

義務ではないが場合によって必要になる維持費と項目

産業用太陽光発電を設置する上で必須になってくる維持費ではありませんが、場合によって必要になってくる維持費としては、4つの項目があります。

義務ではないからこそ、コストパフォーマンスを考慮して検討するようにしましょう。

パネルが汚れたら洗浄による費用も発生する


太陽光パネルは24時間外気にさらされることになりますので、ホコリやチリ、車の排気ガスが付着していきます。

大抵の汚れは自然の雨によって流されてしまいますが、それでも年月の経過と共に汚れは付着していきますし、中には鳥のフンや火山灰、鉄粉が付着するなどの頑固な汚れもあります。

太陽光パネルの汚れは発電量に大きく影響する以外にも、ホットスポット発生によるシステムの不具合も引き起こす可能性があることから、パネルの汚れが考えられる地域ではパネルの洗浄も検討するようにしましょう。

パネルの洗浄方法ではブラッシングや高圧洗浄機などが使われ、費用は1枚当たり300円~500円になります。

パネルの洗浄に関しては定期的に行うというよりも、日常巡視点検によってパネルに汚れが目立つようになった際に行うとよいでしょう。

発電量の維持・地域の景観保護の為に除草作業も必要

発電性能の維持に関する作業(除草時の除草剤利用等)を実施するに当たり、地域住民や周辺環境地域に影響が及ぶことがないように努めること。
発電性能の維持に関する取組 | 事業計画策定ガイドライン

産業用太陽光発電システムは、日当たりの良い平地に設置されることになりますので雑草にとっても好環境な場所になります。

雑草はパネルへのに日陰を作ってしまい発電量を大幅に低下させる原因にもなることから、産業用太陽光発電システムにおいて最も天敵とされています。

雑草対策としては、パネル周辺に防草シートを張り巡らす、架台の最低地上高を1〜1.5mに設定するなどが挙げられます。

ただ、どちらも完璧な方法ではありませんので、雑草が伸びてきたら除草作業は必要になります。

業者に草刈りを依頼する際の相場は、1㎡50円~100円になります。(雑草の丈によって変わってきます)

また、事業計画ガイドラインでは地域住民への配慮の項目もあることから、全く手を付けずに雑草を野放しにしておくことは不可能です。

50kW以上のシステムでは電気主任技術者への人件費も必要

出力50kW以上の自家用電気工作物の発電設備については、発電設備の維持・運用段階において、設置者が電気保安に対する十分な知識を有することが前提とされ、電気主任技術者の選任、保安規程の作成・遵守、技術基準の遵守及び自主検査等により自主保安体制を確保する義務が課せられている。
安全の確保に関する取組 | 事業計画策定ガイドライン

50kW以上のシステムに関しては、電気主任技術者を選任して保安監督部(経済産業省)に届け出ることが義務化しています。

電気主任技術者資格は国家資格ではありますが、実務経験や学歴といった規制がないので設置者自らが電気主任技術者になることも可能ではありますが、合格率は毎年だいたい10%程度でかなり難易度の高い試験に合格しなければなりません。

その為、現実的に見ると第三者を選任することになります。

電気主任技術者に対する契約金としての相場は年間50万円程度になります。

自然災害や盗難などが心配な方は保険料も視野に入れる

種類 補償内容 年間保険料
火災保険 火災、落雷、破裂・爆発、風災、雹災、雪災、水災、電気的事故、機械的事故を補償 30,000円~40,000円
動産総合保険 火災、落雷、破裂・爆発、風災、雹災、雪災、水災、飛来物、盗難を補償 30,000円~40,000円
賠償責任保険 太陽光発電が原因での火災、パネル飛散などで他人に損害を与えた際の損害賠償リスクを補償 50,000円前後
休業補償保険 火災、落雷、破裂、爆発、風災、雹災、雪災、水災、突発的な事故によって太陽光発電が停止した期間に失われた売電収入を補償 7,000円前後

産業用の太陽光発電においての維持費として考えておかなければいけないことに保険があります。

保険に関しては任意の項目ではありますが、メーカー保証だけでは不安だという方は検討する必要があります。

太陽光発電の保険に関しては主に上記の4つが採用されています。

最近はパネルや銅線の盗難への危惧から動産総合保険への加入をおすすめしています。

適切な保守・点検を怠れば認定の取り消しも考えられる

本ガイドラインで遵守を求めている事項に違反した場合には、認定基準に適合しないとみなされ、FIT 法第 12 条(指導・助言)、第 13 条(改善命令)、第 15 条(認定の取消し)に規定する措置が講じられることがあることに注意されたい。
事業計画策定ガイドライン

太陽光発電を運営していく中での維持費と項目をご紹介しましたが、これらの項目を適切に行わなければ最悪の場合、固定価格での買取資格が取り消しとなる可能性もあります。

ただ、経済産業省や資源エネルギー庁が設備を確認に訪れることはありません。

設備の保守・点検に関しては毎年1回の提出義務がある運転費用報告書(認定発電設備の年間の運転に要した費用の報告)によって判断されます。

ちなみに、運転費用報告書の提出を怠っても認定の取り消し対象となります。

まとめ

産業用太陽光発電を運営するにあたっての維持費をまとめると以下の7項目になります。

  • 毎年かかってくる日常巡視点検費用と償却資産税(義務)
  • 4年置きに発生する定期点検費用(義務)
  • 10年目安でのパワーコンディショナの基盤交換(義務ではないが推奨)
  • パネルに頑固な汚れがあった際の洗浄費用(任意)
  • 雑草が伸びたら除草作業費用(任意)
  • 50kW以上のシステムでは電気主任技術者への人件費(設置者以外が担当する場合には義務)
  • 自然災害・盗難が心配な方は毎年の保険料(任意)

業者によっては販売のみで保守・点検に対応していないところもあります。

産業用太陽光発電に関しては住宅用以上に適切なアドバイスが大切になりますので、出来れば販売から施工、メンテナンスまでをワンストップで行っている業者が望ましいです。

大切なのは維持費を考慮した収支の計算になりますので、今回紹介した7項目を頭に入れて物件の選定を行う事をおすすめします。

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