太陽光発電のデメリット!出力制御のイロハ

出力制御とは

2010年に国が太陽光発電の普及をもくろんで、太陽光発電で作って余った電気の価格(買い取り価格)をそれまでの倍の48円に設定した事によって太陽光発電の認知度が高まりました。

現時点(2024年1月時点)での買い取り価格は24円(出力制御機器設置義務地域は26円)とだいぶ下がってしまいましたが、そのぶん太陽光発電の価格自体が安価になってきたこともあって着々と日本における太陽光発電のシェアは増えてきました。

しかし、そんな増えた太陽光発電によって、電力会社の電気を作る量(厳密には太陽光発電によって作られた電気を買い取った電気)と各家庭に提供する使う量とのバランスが崩れてしまう恐れがでてきました。

この作る量と使う量は常に一定に揃えていないと、最悪の場合、電力会社が管轄する地域全域による大停電が起きます。

これを防ぐ為に経済産業省が、2015年1月から各電力会社ごとの接続可能量を設定し、それを越えて発電する太陽光発電システムに関しては売電を抑制(一旦中止)すること発表しました

これを出力制御と言います。

出力制御が行われれば売電が出来なくなるので完全なるデメリットです。

ちなみに、出力制御はパワーコンディショナに内蔵されている対応機器によって、電力会社が自動的に制御をかけます

2015年に発売されているモデルであれば、ほとんど全て内蔵されていますが、一部内蔵されていないものもあります。

現在は、全国で出力制御対応機器の設置が義務化されていませんが、今後の事も踏まえて考えると、出力制御対応機器が内蔵されているパワーコンディショナにしておくほうが無難かと思います。

出力制御対象地域

出力制御地区は7地区になります。

  • 沖縄電力
  • 中国電力
  • 北陸電力
  • 四国電力
  • 北海道電力
  • 東北電力
  • 九州電力

上記以外の東京電力、中部電力、関西電力では出力制御は行われません。

そして出力制御地区とそれ以外では売電単価も変わってきます。

2019年では出力制御地区で1kW26円、出力制御が行われない地区は24円での買取になります。

出力制御ルール

各地域の接続可能量を上まわった場合の措置として3つのルールが適用されます。

《30日ルール》
年間30日以内で接続制御を実施するルール

《360時間ルール》
年間で360時間以内で接続制御を実施するルール

《指定ルール》
無制限に接続制御を実施するルール

いずれのルールも出力制御機能付きのパワーコンディショナや付属の出力制御機器によって自動で実施され、自動で解除されます。

各地域の接続可能量と制御条件

電力各社の接続可能量、接続申込量の状況についての詳細
電力各社の接続可能量、接続申込量の状況

太陽光発電を検討する人にとって出力制御はネックになる取り決めですが、全ての地域で同じように出力制御がかかるわけではありません。
参考:再生可能エネルギー特別措置法施工規則の一部を改正する省令と関連告示を公布しました | 経済産業省

赤枠で囲った各電力会社の接続可能量を上回った場合に出力制御が行われます。

この数値は各電力会社が2011~2013年度の天候等に基づく出力実績と接続可能量算定時の太陽光発電・風力発電の出力想定をもとに太陽光発電の出力制御の見通しを算出しています。

接続可能量を上回った場合の措置としては10地域を4つのグループに分けて出力制御されます。

出力制御による影響度

東京、中部、関西地方にお住まいの住宅用太陽光発電システム(10kW以下)を設置のお宅は出力制御対象外になりますのでほぼ関係のない話しになります

それ以外の地域の方には心配になる話題になりますが、実際の所どの程度の影響がでるものでしょうか?

2013年データによる所で言うと各地域の影響度は下記のようになります。

  • 北海道・・・26日の制御(抑制率2.9%)
  • 東北・・・20日制御(抑制率4.6%)
  • 北陸・・・23日制御(抑制率3.3%)
  • 中国・・・17日制御(抑制率1.3%)
  • 四国・・・19日制御(抑制率4.5%)
  • 九州・・・16日制御(抑制率4.2%)
  • 沖縄・・・0日制御

あくまでも参考程度のデータになりますが、経済産業省が発表した新エネルギー小委員会(第8回)によるものです。

気にするべきは各地域の抑制率です。

一番高い地域で東北地方になるわけですが、単純に4.6%の売電収入が減る計算になります。

お住まいの地域の出力制御条件を加味して太陽光発電を検討してみてください。

2018年10月13日、14日に九州電力で大規模な出力制御が実施

10月13日は土曜日で予報は晴れということで、消費電力が少なく需給のバランスが崩れて、最悪の場合ブラックアウト(大停電)になることを危惧しての出力制御になります。(土日祝は工場や会社などで電気が使われないので消費電力が減るため)

また、14日の出力制御では九州電力で約3300件の発電事業者について30分間、余分に抑制がかかってしまうのなどシステムトラブルが発生しています。

遠隔制御可能な事業者については、制御量を少なくするための当社独自の取り組みとして、需給状況を見ながら制御指令の解除を行っておりますが、システム不具合が発生したため、手作業で対応を行ったことから、一部事業において、30分間(10時30分~11時解除が遅れました。)

九州電力ホームページ

出力制御の実施は離島を除いて日本で初めての実施となりました。

太陽光発電と出力制御まとめ

2018年10月に九州電力で出力制御が実施されましたが、今後太陽光発電が普及していくと他電力圏内でも出力制御の頻度が増してくるかもしれません。

太陽光発電の設置者からするとデメリットの側面が大きくなってしまうような内容ですね。

これから設置を検討される方は、出力制御も視野に入れて業者にシミュレーションしてもらうことをおすすめします。

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