太陽光発電でエアコンを自立運転する時のメリット・デメリット

夏場や冬場にエアコンは欠かせませんが、使用する電気代が気になるご家庭も多いかと思います。

太陽光発電を設置しているお宅であれば、太陽光発電で発電した電気でエアコンを稼働させることができれば、電気代の節約にもなります。

結論から申し上げると、太陽光発電の自立運転機能によってエアコンを稼働させることは可能です

ただ、自立運転によってエアコンを稼働させる際に注意すべき点として4つのメリット・デメリットがあります。

このメリット・デメリットを疎かにすると節電だと思っていたら結局損をしていたということにもなりかねません。

太陽光発電の自立運転で使用できるエアコンや自立運転することによる売電収入の変化、使用時の快適性などを紹介します。

太陽光発電の自立運転とは

自立運転中のカラーモニタ
自立運転中のカラーモニタ

自立運転とは、太陽光発電で作った電気を自分の家で使えるようにパワーコンディショナの設定を変更することを言います

太陽光発電仕組みとして(10kW以下のシステム)は、パネルで作られた電気(直流電流)を家の電化製品で使えるようにパワーコンディショナに集約して交流電流に変換させてから各電化製品へと渡り、使いきれなかった分が各地域を管轄している電力会社へ自動的に売電されます。

自立運転は、パワーコンディショナの設定を変更することで、パネルで作った電気が家に流れずパワーコンディショナで留まることになり、この電気をエアコンでも使うことが出来ます。

カラーモニタによって自立運転の具合を確認することができます。

最も自立運転が活躍する時は地震や電力会社の不備で大規模な停電が発生した際です。

記憶に新しい所で言えば、2019年10月に千葉県を襲った台風15号がありましたが、JPEA(太陽光発電協会)の調べによると太陽光発電ユーザーの8割(486件のうち、自立運転機能を利用した件数は388件)は自立運転によって難を逃れています。

ただ中には自立運転の機能自体を知らないお宅や、自立運転自体は知っていたが停電によって調べる詳しい稼働方法が分からず使えなったお宅もありました。(アンケート全体の60件)

100Vタイプのエアコンにのみ太陽光発電が使える

100Vタイプのエアコンにのみ自立運転させることができる
100Vタイプのエアコンにのみ太陽光発電が使える
200Vコンセント
200Vコンセント

エアコンは100Vタイプのものと200Vタイプのものに分類することができますが、太陽光発電の自立運転によって稼働させられるエアコンは100Vタイプのものに限られます。

100Vと200Vではエアコンコンセント穴の形が違います。

100Vタイプのエアコンのコンセントはよく見る一般的なコンセントの形と同じく縦2つまたは縦1つ・L字または逆ト時です。一方、200Vエアコンのコンセントは横2つまたは横1つ・L字1つとなっています。

自立運転の際にはパワーコンディショナ脇や下にあるコンセントに電源プラグを差し込んで使いますが、各メーカー電圧は100Vになっています。

特にパワーコンディショナのコンセントの規格は100Vでなければいけない法律はありませんが、1914年にそれまでまちまちだった送電方式を一つにまとめるために、普及していた100V電球合わせる格好でコンセントも100V規格に定着していったようです。

この流れを受けて現在販売されているパワーコンディショナは100V仕様となっている為、使用できるエアコンも100Vのものに限られるわけです。

ただ最近では、安川電機が産業用低圧・高圧向け自家消費特化型の太陽光発電用パワーコンディショナーの新製品「Enewell-SOL P3A」(25kw、三相200V級)を発売するなど200V対応のパワーコンディショナも出てきました。

また変換アダプターもありますので、コンセントの規格が違う場合にも変換アダプターを使えばエアコンを使えます。

また蓄電池は単相3線式の200Vも発売されてきていますので、今後は家庭用のパワーコンディショナも200V規格で発売されてくるかもしれません。

現在、ほぼ全てのエアコンを太陽光発電の自立運転で稼働させられるのは大きなメリットになります。

自家消費しすぎると売電収入が減る

家庭におけるエネルギー消費量の内訳(2015年)
家庭におけるエネルギー消費量の内訳

太陽光発電で作った電気を自立運転によって自家消費に回せば電力会社から買う電気は少なくなりますが、その反面電力会社に売る電気の量は減ってしまうのが自家消費のデメリットですね。

特に最近は天然ガス(LNG)や化石燃料の高騰による電気代の値上げで自家消費することで売電収入は大きく減ってしまうことになりました。

10kW未満の住宅用太陽光発電システムでは、太陽光発電で作った電気は一度自家消費に回され、その余剰分を電力会社へ売る事ができる余剰買取となっています。(10kW以上の産業用太陽光発電システムは全て電力会社に買取(全量買取)になります)

なので、太陽光発電で作った電気だからと言ってエアコンに無駄に消費してしまうと売電収入が減ってしまう事になります。

資源エネルギー庁の『省エネ性能カタログ2017年冬版』によると、家庭におけるエネルギーの消費割合としてエアコンを含む暖房機器は22.4%を占めるという報告がありました。

エアコン使用によってかなり大きな額を消費していることになりますので、太陽光発電で作った電気もかなり食われることになります。

無駄な自家消費は売電収入が減る事になりますが、必要な分のエアコンを自家消費に回すことは消費電力の削減にかなり有効に働くことになりますので調整してエアコンを使用することが大切です。

ちなみに、エアコンの電気代は消費電力(W)×使用時間(h)×電力使用量料金で求めることができます。

使用しているエアコンが途中で使えなくなる場合がある

太陽光発電の発電イメージ図
太陽光発電の1日の売電・買電・自家消費イメージ図

自立運転機能はあくまでも付加機能であり、太陽電池出力のみに頼る非常に不安定な電源です。
一般的な負荷を必要とする動作開始時のピーク電力も供給できるようになってはおりません。

シャープ

太陽光発電は太陽が出ている日中しか発電しない為、自立運転でエアコンを稼働させていても太陽の動きや雲の関係などによって途中で使えなくなるというデメリットがあります。

またエアコンは他の家電と比較しても消費電力が大きいため、自立運転での稼働は特に不安定になります。

これは太陽光発電の自立運転は基本的に停電時などの非常用の電源確保になるためです。

日常的に自立運転にすることを見込んで作られていないんですね。

ちなみに10畳ほどの部屋に設置されている冷房能力2.8kWのエアコンを稼働させるために必要な消費電力は約560Wほどだと言われています。

これは3kWほどの太陽光発電システムを設置して、天気が良ければエアコンの自立運転も可能になる計算です。

太陽光発電は太陽の上昇と共に発電量を増し、だいたい17時~18時までの間発電してくれます。

この間、そのシステムが最大限活躍する時間帯は9時~15時程度になります。

これ以外の時間帯では自立運転でのエアコンの稼働は不安定になる事を肝に命じておきましょう。

使える家電製品には限界がある

電流:アンペア(A):電気の流れの大きさ
電圧:ボルト(V):電流を流す力の大きさ
電力:ワット(W):電気がする仕事の大きさ

自立運転モードの時に太陽光発電で作った電気を使える容量は1500Wになります

これは一般的に使用されているコンセントの容量が15Aで設置されていることが多い為、最大で1500W(15A×100V(一般家庭の電圧))の設定とされているためです。

太陽光発電では最大で1500W以上の電気も発電してくれる時がありますが、この時にもマックスで使える電気は1500Wになります。

ちなみに15Aのコンセントに1500W以上の電流を流せば火花が出て火事の危険性もでてきます。

エアコンであれば100Vタイプのエアコンにのみ太陽光発電が使えます。

家で使う家電製品の使用電力も紹介しておきます。

エアコン530W
電子レンジ1500W
IHクッキングヒーター1400W
炊飯器
(5.5合炊飯時)
1300W
ドライヤー(強)1200W
掃除機(強)1000W
洗濯機300W
ドラム式洗濯乾燥機
(洗濯時)
200W

自立運転終了時には連携モードに設定し直す

パワーコンディショナ自立運転設定
パワーコンディショナ自立運転設定

これは現在の自立運転のデメリットでもありますが、自立運転には手動での対応が必要になります。

メーカーによって自立運転の設定の仕方は変わりますが、どのメーカーも難しい設定は必要なくスイッチ一つで設定することができます。

特に自立運転モードへの切り替えは難しいものではありませんが、それでも自立運転にしたことがない人は不安があると思いますし、太陽光発電の契約時にもそれほど自立運転に関する詳しい説明をしてくれる業者も多くありません。

自立運転の注意点はエアコン使用の目的が終わったら、手動で売電モードに戻さないといつまで経っても売電を再開してくれません。

これは災害時の自立運転の時も同じで手動で売電モード、自立運転モードを設定する必要があります。

太陽が出ている時しか自立運転(エアコン)は使えない

太陽光発電は当然ですが太陽が出ている時にしか発電しませんので、自立運転は太陽が出ている日の出から日の入りまでの時間になります。

日の入り後(夜)は自立運転は使えません。

パワーコンディショナには蓄電機能は装備されていませんから、あくまでもその時に発電している分の電気の総量が家で使えるマックスの電気になります。

蓄電池がある場合は日中以外もためた電気を活用できます。

現在の太陽光発電は曇りの日や日の出直後、日の入り直前までしっかりと発電してくれます。

太陽光発電別自立運転のやり方

パナソニック

※東芝はオムロンからOEM(納入先商標による受託製造)にてパワーコンディショナの仕入れを行っています。

東芝(オムロン製)

シャープ

自立運転モードの切り替え方法 | シャープ

三菱

三菱電機 三菱住宅用太陽光発電システム:停電時の使用(自立運転機能)に関するご案内 | 三菱

京セラ

ソーラーフロンティア

長州産業

【操作方法】連系運転(通常運転)と自立運転の切替方法のご案内 | 長州産業

カナディアンソーラー

停電時の連系運転と自立運転の切り替え | カナディアンソーラー

Qセルズ

停電時の使い方(自立運転) | Qセルズ

太陽光発電の最も大きなメリットは停電時の自立運転にある

私は2011年から2013年までの3年間に東北地方で太陽光発電の営業マンをしていました。

そして2011年3月には東北地方太平洋沖地震を経験し、私自身も停電の中数日の避難生活を送るという経験をしました。

⇒ 東北大地震の時に太陽光発電が大活躍した話し

そして、それから一か月ほどして会社が営業を再開しまず行ったのは顧客へのサポート業務でした。

自分のお客さん一軒一軒に電話をし、被害の状況を確認しました。

電話のサポートと共に実際にお客さんの家に足を運び状況を目で見てお客さんから被害の状況を聞きました。

その時に嬉しかったのは、太陽光発電を設置したことによって停電時に自立運転を活用できたとの声でした。

自立運転で炊飯器でご飯が炊けたことや、近所の人を集めて電気を分け与えたとの話しを聞いた時に改めて太陽光発電を設置するメリットを確認しました。

太陽光発電のメリットと聞くとつい売電による収入が頭に浮かぶかと思いますが、実は太陽光発電の一番のメリットは万が一の時の心強さにあります

また、そんな万が一の状況の時に支え合うことができます。

これこそが太陽光発電の一番のメリットだと私は感じています。

太陽光発電(自立運転)とエアコンまとめ

太陽光発電でエアコンを稼働させる時のメリット・デメリットをまとめると以下になります。

  • 100Vタイプのエアコンに限る
  • 無駄な電力の消費は売電収入に影響する
  • 電力が不安定
  • 手動で『売電モード』『自立運転モード』を1回1回設定する

上記4点のメリット・デメリットを意識すれば太陽光発電によってエアコンを効率的に稼働させることができます。

2024年に入って売電単価よりも日中の電気単価のほうが大きくなりましたので、自立運転を日常的に活用する機会は多くなると思っています。

買電と売電のバランスを考えてエアコンを使うようにしましょう。

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